民塾長のちょっといい話36

先週、直木賞作家で仙台市在住の熊谷達也氏の講演を聞く機会がありました。「言葉を屠(ほふ)る」という演題で、小説への思いや苦悩など言葉の持つ深さに魅了されました。熊谷氏は中学校教諭や保険代理店を経て40歳の時に「ウエンカムイの爪」でデビューし、小説すばる新人賞を受賞しました。その後「漂泊の牙」で新田次郎賞、「邂逅の森」で山本周五郎賞・直木賞をダブル受賞し、これまでに40冊を超える著作があります。私も東北や北海道の風土に根差した作風や構成が好きで、何冊か読んでいます。東日本大震災後、「新しいものが自分の中から出てきていない、ワクワクした発見がない」と自分の作風に悩み、「これまでの自分を全部捨てて原点に戻る」との話に、プロの小説家としての迫力を感じました。

「これまでの自分を捨てる」という言葉は、『耕人塾』のコンセプトである「創造」にどう取り組んでいくかというヒントになるのではないかと思っています。

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