民塾長のちょっといい話72

先日、「心のパン屋さん」(大村はま著)を読んでいたら、ハッとさせられる文に出会ったので紹介します。大村先生が現職の頃、教員研修会で俳優の森繁久弥の講演があったそうです。「時間ぎりぎりにバタバタと走るように入ってきた森繁さんは『あ、遅くなりました。いま旅から帰ってきたものですから・・・』そして、『なんにも考えてこないで、先生方の前でお話しするなんてことは、まったくおこがましいことですけれど』と話しをはじめられました。しかし、たいへんおもしろく、あとからあとから湧き出るようなお話で、肩の凝らない、心に沁みるいいお話でした。終了後、会場から『何にも考えないで、湧き出るように話せる秘訣があったら教えてください』という質問が出されました。森繁さんは、『ほんとうは、うーんと用意をしてきました。私は長い間このお話の案を練っていました。何にも準備しなかったと言いましたが、それも私の案です』会場はシーンとなりました。」

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